【症例】神経を残す!
イオンモール柏正面にある柏、南柏の歯医者、ウィズ歯科クリニックです。
今回はレントゲン上で虫歯が神経まで到達してしまった大きな虫歯です。
(参考)露髄歯の歯髄保存
https://www.with-dc.com/info/post-233/
(茶色斜線が虫歯で、赤色が神経です)
このくらいの虫歯ですと、レントゲン上の虫歯の大きさから神経を取る処置(抜髄)をしていくと思います。
それはそれで間違えではないと思います。
しかし当院ではレントゲン上の診査だけでなく、自覚症状も含めて診断を行います。
これは私が卒後修行させてもらった医院でのスタイルが根付いているのですが、「一歯入魂」スタイルでなるべく神経を抜かない、歯を削らない、被せないという考え方です。
なぜ神経を残すことにこだわるのかというと、一般的に言う歯の神経は歯髄といい、血管も含まれています。
つまり神経(歯髄)を取ると血液供給も同時に遮断され、水分がなくなり枯れ木のように歯が割れやすくなっていまいます。
もちろん知覚もなくなるので、2次虫歯になっても痛みやしみるといった神経からのサインも無くなり、虫歯の発見がかなり遅れてしまいます。
天然の神経が残った歯に比べると、神経のない歯は抜歯のリスクがかなり高くなってしまいます。
神経を取る→二次虫歯や破折で抜歯→ブリッジ→抜歯→部分入れ歯→抜歯→総入れ歯
簡単に書くとこういう流れになってしまいます。
歯が一本なくなると両隣の歯を削って支えるブリッジとなりますが、3本分を2本で支えるのでかなり負担はかかってしまいます。
それがダメになるとさらに長いブリッジ、その後小さな入れ歯からだんだん大きくなり、総入れ歯となってしまいます。
自然界では歯の喪失は寿命となりますが、いかにこの口腔内の崩壊を食い止めるかが歯科医師の仕事でもあります。
いかに一本の歯を残す、そのために神経を残すということはとても重要となります。
前置きが長くなりましたが実際の症例です。
40代女性のこの方は、「冷たいものがしみる」ということで来院されました。
レントゲンでは神経まで虫歯が進行していますが、症状からすると「可逆性歯髄炎」(また健康な神経に戻れる炎症状態)と仮定して治療を進めていきます。
逆に「非可逆性の歯髄炎」(健康な神経には戻れない、炎症の強い状態)といって、かなり神経の炎症が強いときには痛みも強く出ているので神経を取らなくてはなりません。
見た目では問題のない銀歯をはずすと、虫歯が大きく歯肉が盛り上がっています。
歯肉をレーザーで取り除き、虫歯を取り切ったところです。
やはり神経が顔を出しました!
まずは止血を試みますが、この時点で炎症が強いと止血が困難になることもあります。
神経を保護する薬を二重で塗布して、穴を埋めます。
強い症状がなく、このくらいの神経の露出量であれば70~80%は残せます。
逆に5本に1本くらいは痛みが出てしまうこともあり、神経の処置が必要になることもあります。
この後、1~2か月程度置いてから歯を入れていきます。
神経を取る処置に比べると、治療時間、回数、費用等は大幅に少なくて済みます。
ただデメリットとしては痛みが出たり、冷たいものがしみてしまったりすることがあります。
この辺はその時に歯の写真を見せながら、どちらの治療法でいくかは相談させていただく形になります。
こういった説明等はなく、軽く説明をして神経をサッと取ることが多いせいか、「ここまで説明されたことがない!」という方も多いです。
当院では神経の保存にこだわることと、イメージがわきやすいように写真、レントゲンだけでなく、イラストや動画なども用いて可能な限りわかりやすい説明を心掛けていきます。
(参考)露髄歯の歯髄保存
https://www.with-dc.com/info/post-233/
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