【症例】外科的な侵襲を抑えるためにソケットプリザベーション(歯槽提温存術)を行い、低侵襲下にてインプラント治療を行った一例
症例写真
治療前
治療後
症例の詳細
治療内容 | 上顎右側第二大臼歯(右上7番):インプラント治療の為のソケットプリザベーション(歯槽提温存術) |
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患者様の状態・要望 | 右上7番は精密検査の結果、歯根破折を認めたため保存不可能と判断した。欠損部に対する患者様の希望はインプラント治療であったが、抜歯による歯槽骨吸収により、ソケットリフト(上顎洞挙上術)併用下でのインプラント治療となる可能性が高く、患者様はなるべく外科的な侵襲が少ない方法を望んでいたことから、ソケットプリザベーション(歯槽提温存術)併用下でのフラップレスインプラント治療を提案したところ同意を得たため処置に入った。 |
治療費用 | ・歯槽提温存術55000円 |
治療期間 | ・総治療期間10~12カ月 |
注意事項(主なリスク・副作用) | ・抜歯処置及び歯槽提温存術による痛み・腫れ・出血 |
治療概要
患者様は50歳代女性。右上7番は口腔診査およびX線検査によりと歯根破折および破折部より感染したと考えられる歯根の全周を取り囲むような根尖部病巣を認めたことから保存不可能と診断し、抜歯が必要となると説明しました。
その後、欠損部に対しては入れ歯・ブリッジ・インプラントと3通りの方法が考えられるため、全ての治療法のメリットおよびデメリットについて説明したところ患者様はインプラントでの治療を選択されました。
しかし、CTにて精査したところ、残存骨の幅は十分量確認できたが、垂直的な高さは抜歯を行うことによりインプラントを埋入するために十分な骨量の確保は難しい状態でした。
患者様はなるべく外科的な侵襲が低い治療方法を望まれていたため、外科的な侵襲の大きいソケットリフト(上顎洞挙上術)よりも抜歯と同日に骨補填材を填入し、抜歯後の歯槽骨吸収を最小限に抑えるソケットプリザベーションを提案させていただいたところ、了承を得たため治療を開始しました。
~ソケットリフト(上顎洞挙上術)とは~
副鼻腔の一種である上顎洞底部の粘膜を鈍的に上方に押し上げて、出来たスペースに骨補填材を填入する方法です。普段は外界とは接しない上顎洞粘膜を触れることで感染のリスクがあります。
~ソケットプリザベーション(歯槽提温存術)~
抜歯をし、不良な肉芽組織を完全に除去した上で骨補填材を填入し、コラーゲン膜(バリアメンブレン)で覆うことで、抜歯後の歯槽骨吸収を最小限に抑え、現存する歯槽骨を温存することができます。そのため上顎洞挙上術や骨造成法といった外科的侵襲が大きい処置を避けることができる可能性が高くなります。
治療詳細
右上7番に対し、歯周組織に不要な傷を与えないため、またバリアメンブレンの設置のために歯肉に切開・剥離を加えたうえで抜歯を行いました。次に抜歯窩に残っている軟組織を取り除き、骨補填材(Bio-Oss)を填入しました。そして骨補填材の溢出や細菌感染の防止のため抜歯窩をバリアメンブレンで覆い、緊密に縫合を行いました。その後、治癒期間として半年待ち、CTにて確認したところインプラントを埋入するのに十分な骨量を確認できたため、サージカルガイドガイドの併用下にインプラントの埋入を行いました。
治療後の様子
インプラント埋入後、患者様はソケットプリザベーションを行ったことにより、発が保存でき、ソケットリフトのリスクを回避できた事を本当に喜んでいました。
ドクターのコメント
佐藤 啓
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今回のケースでは無事、歯槽提温存術を行うことによってインプラントを埋入するのに十分な骨量を確保することができました。インプラント埋入は歯肉を切らない・縫わないフラップレスインプラントで行いました。
もしインプラント埋入するのに十分な高さが取れない場合は上顎洞挙上術であるソケットリフトが必要になります。ソケットリフトとは骨の厚みが不足している場合に、上顎洞粘膜を鈍的に上方へ押し上げて人工の骨補填材を填入することで、インプラント治療に必要な骨量を確保する方法です。デメリットとして上顎洞粘膜を触れることで感染のリスクがあることが挙げられます。
患者様はできるだけリスクと痛みが出ないようにしてほしいとおっしゃっており、希望に沿った治療が行うことができたと思います。
この後、4~6か月間経過をオステル等でインプラントの安定性を確認し、上部構造の作製を行っていきたいと思います。
これからも技術と知識の研鑽に努め、患者様に満足していただけるよう日々精進していきます。
国際口腔インプラント学会 認定医 佐藤啓