【症例】GBRを行い、インプラント治療した患者様に上部構造をセットしました。
症例写真
治療前
治療後
症例の詳細
治療内容 | GBR インプラント埋入 上部構造セット |
---|---|
患者様の状態・要望 | 下顎右側切歯部は歯根破折により保存不可能。歯の破折線より細菌が侵入し炎症が起き、周囲の骨に著名な吸収を認めた。 |
治療費用 | 539,000円 (編集中) |
治療期間 | 約11ヶ月 |
注意事項(主なリスク・副作用) | GBRが2度必要になる可能性がある。 開創処置になるので腫れや痛みが出やすい。 |
治療概要
患者様は40歳代女性。他院にて下顎右側切歯部の歯根破折を指摘され、保存不可能と診断されました。患者様は保存不可能な歯の抜歯後の治療法としてインプラント治療を望んでいましたが、インプラント治療をするのに必要な骨が十分ではないという理由でインプラント治療は不可能と診断され、セカンドオピニオンで当院に来院されました。
当院における患者様の要望は「治療期間が長期に渡ったとしても何とかインプラント治療により失った歯を取り戻したい!」ということだったため、まずはX線およびCTにて診断を行いました。診断結果は他院での診断結果と等しく、下顎右側切歯の歯根破折により保存不可能、そして歯の破折線から細菌が侵入したことで炎症が起こり、その結果周囲の骨が吸収していて、抜歯窩が治癒してもインプラントを埋入する骨量は残っていませんでした。
そこで、当院ではGBR(骨組織再生誘導法)法を患者様に提案させていただきました。
GBR法とは歯周組織再生療法の1つで、歯周病などで骨が失われた部位に自家骨(自分の骨)や人工骨などを移植して骨の再生を図るものです。
主に、インプラント治療を希望しているが骨の量が足りない、という場合に行われます。
上記の診断結果および治療方法を患者様にご提案させていただいた上で治療に入りました。
治療詳細
まず保存不可能と診断した歯の抜歯を行いました。
抜歯を行う際に治癒が促進するように抜歯窩にテルプラグ(抜歯窩の保護と治癒を促進する材料)を挿入しました。
その後、歯肉の治癒を2ヶ月ほど待ち、GBR法を行いました。
歯周病による骨吸収の場合、炎症により両隣在歯の骨組織を巻き込んで水平的に広い範囲に渡って、骨が欠損するケースがあります。この場合、GBR法を行う際の骨補填剤を入れる時や骨を再生したい部位に骨補填剤を留めておくために使用するメンブレン(遮断膜)の設置が困難で、GBR法が複数回必要となるケースもあります。
今回は歯根破折による、垂直的で狭い範囲の炎症性の骨吸収であったため、一回で十分な骨補填剤を入れる事ができ、また両隣在歯の骨組織の吸収が緩やかであったため、メンブレンの設置も緊密に行うことができました。
今回のGBR法で使用した材料はチタン製のハニカムメンブレンという遮断膜とバイオスという骨補填材を使用しました。
骨補填剤が骨に置換されるのを6ヶ月ほど待ちCTで確認したところ、インプラントを埋入するのに十分な骨が確認できたため、再び開創し、メンブレンの除去とインプラント埋入を同時に行いました。
下顎前歯は骨幅が少ない為、パーフォレーションしない様サージカルガイド(図1)を使用し、埋入しました。(図1)
埋入後2ヶ月頃に歯肉の形態を整えるために仮歯を装着しました。
更に1か月程、歯肉の形態が整うのとインプラントと骨のオステオインテグレーションを待ち、ジルコニアアバットメントとジルコニア上部構造の印象を行い、装着しました。
治療後の様子
患者様はしっかり前歯で食べ物を噛み切れる、気兼ねなく笑うことができると大変満足していました。これからはプラークコントロールが最も重要なので3ヶ月毎のメンテナンスをしっかりやっていく事を強く勧めました。
ドクターのコメント
佐藤 啓
こんにちは!イオンモール柏の向かいにございます、ウィズ歯科クリニックの歯科医師の佐藤です。
今回のケースは破折後年単位で放置せず、比較的早期に来院したことにより患歯の隣在歯及び周囲組織に対する影響が少なかった為、行えた症例だと思います。
皆様も取り敢えずとか、ダメになったらとか、痛みが出てからではなく、10年後20年後のことを考え、何かあればすぐに相談して頂けますと幸いです。
これからも技術と知識の研鑽を行い、地域医療に貢献していきたいと思います。