【症例】前歯のブリッジが何度も取れてしまう原因を突き止め、抜歯即時インプラント埋入治療で治療期間を短縮
千葉県柏市の柏駅・南柏駅近くの歯医者「ウィズ歯科クリニック」の歯科医師・小川です。今回は70代・男性の患者様の症例をご紹介します。
こちらの患者様は、他院にて付けた前歯のブリッジが何度も取れてしまい、日常生活に支障をきたす程困っていらっしゃいました。治療にあたっては、まずブリッジが取れてしまう原因を丁寧に調べてご説明し、その上で患者様がインプラント治療を望まれました。非常にお困りの患者様でしたが、手術後は「もっと早くやればよかった!」と笑顔でおっしゃっていただける程ご満足いただけたようです。
それでは、詳細をご説明していきます。
治療の内容
インプラント治療(前歯をブリッジからインプラントに変更)
インプラント治療の費用(税込み)
・サージカルガイド(1つ):55,000円
・インプラント体(2歯分):420,000円(CAMLOG社)
・造骨処置(インプラント同時埋入):55,000円
・仮歯(3歯分):32,000円
・チタンアバットメント+ジルコニア上部構造(3歯分):512,000円
インプラント治療の期間
約4ヶ月
※通院回数3回
インプラント治療前の状態・主訴
・70代・男性の患者様。
・他院にて前歯のブリッジ治療を行ったものの、治療完了直後から何度も取れてしまう。
・何度も取れてしまう理由や原因を尋ねても、納得できる説明をしてもらえない。
・インプラント治療を勧められたものの不信感があり、具体的な方法の提案もなかったため当院に転院。
ご要望
・前歯のブリッジが何度も取れてしまい、取れる度に歯科医院で急患として受診するものの、付け直しては取れてしまうの繰り返しで日常生活に支障が出ている。精神的にも参っている。
・70代と高齢なため、年齢を考えるといつまで歯科医院に通えるか分からないので、根本的な治療をしつつも、治療期間はなるべく短くして欲しい。
こちらの患者様は他院にて付けた前歯のブリッジが何度も取れてしまい、日常生活に支障をきたすだけでなく、精神的に参ってしまっていました。ブリッジ治療は歯を失った際の治療法の一つではあるものの、両隣に歯に負荷がかかることで歯科医療用の接着剤が剥がれてしまうなどの理由により、ブリッジが取れてしてしまうことがあります。
もちろん、適切な治療を行っていれば頻繁に取れることはありませんが、それでも取れる可能性はあります。そこで、ブリッジが取れてしまう原因をしっかりと解明した上で、患者様がストレスを感じないで済む治療法をご提案することにしました。
インプラント治療の詳細
患者様からのヒアリングと検査を行った結果、ブリッジが取れてしまう2つの原因が判明しました。
原因その①:前歯のブリッジの支台歯が失活歯だった
前歯のブリッジの支台歯は失活歯(神経を抜かれ血の巡りがなくなった歯)でした。失活歯は枯れ木と同じような状態なので割れやすく、また神経を抜かれているためしみるなどの痛みを感じることができず、被せ物や土台の中で虫歯になっていても気づくことができません。
こちらの患者様の場合も取れた前歯を確認した所、虫歯が深部にまで及んでいたため、抜歯が必要と診断しました。もし、その前歯を無理に残して治療をしたとしても再び取れる可能性は極めて高いと判断しました。
原因その②:奥歯の咬み合わせが低くなっている
前歯の咬み合わせの基準は、奥歯の咬み合わせの高さによって決まります。一般的に奥歯は食べ物をすり潰す役割を担っていることから、前歯に対して約4倍もの力がかかります。経年的に、奥歯の天然歯や被せ物が削れてくることで、奥歯で負担していた力が前歯にもかかるようになってきます。
こちらの患者様の場合も、奥歯の天然歯や被せ物が削れてきており、それが原因で前歯に負担がかかり何度も取れてしまうとご説明しました。
ブリッジや入れ歯でなくインプラントをご希望された
上記2点を患者様にご説明したところ、とてもご納得いただいた様子で、「奥歯にも原因があったのか」とおっしゃっていました。ブリッジが何度も取れてしまう原因がハッキリしたところで治療法としては下記のようなご提案をしました。
・取れた前歯のブリッジの支台歯は抜歯して、支台となる歯を増やした上で、ブリッジ・入れ歯・インプラントを検討する。
・奥歯の咬み合わせの低さを解消するため、被せ物を再製作する。または、咬み合わせる面が削れてしまっている天然歯についても被せ物で咬み合わせの高さを揃えて、奥歯の咬み合わせを再構築する。
上記の治療法をご提案したところ、患者様としては健康な歯を削る必要が出てくるブリッジと、付け外しや手入れが面倒な入れ歯には考えておらず、根本的な解決ができるインプラントをご希望されました。
また、「前歯がダメになった理由をしっかりと説明してもらったので納得でき、前歯をより長持ちさせるためには奥歯の治療が必要なのも理解できた。でも、年齢や費用、治療期間などを考えると今回は前歯のみの治療がしたい」とおっしゃられました。そのため、前歯のインプラント治療が終了した暁には、奥歯の咬み合わせの負担を少しでも軽減することができる睡眠時に装着するマウスピースの装着をご提案しご理解くださいました。
抜歯とインプラント埋入を同時に行う「抜歯即時インプラント埋入」を実施
インプラント治療を開始するにあたり、まずは3次元CTの撮影を行いました。インプラント治療を行う上でのネックの一つとなるのが、治療期間の長さです。通常のインプラント埋入の場合、一般的に抜歯を行ってから4~6ヶ月の治癒期間を置く必要があります。その後にインプラントの埋入を行い、今度は2~4ヶ月の結合期間を経てようやく被せ物が入ります。
せっかくインプラント治療を行う決心をされても、これだけ長い期間がかかるとモチベーションを維持すのは大変です。こちらの患者様も、なるべく短い期間で治療を終えたいと希望されていたため、抜歯とインプラント埋入を同時に行うことで、抜歯後の治癒期間をスキップでき、仮歯を装着して審美性の確保もできる「抜歯即時インプラント埋入」でシミュレーションを行いました。
幸いなことにインプラント埋入予定部位の骨の状態は良好であり、インプラントの初期固定が取れると診断できました。また、抜歯予定の歯に膿がたまっているなどの所見も見られなかったため、抜歯即時インプラント埋入が十分可能と診断しました。そして、特に前歯の狭い領域に正確なインプラント埋入を行うために、手術当日はサージカルガイドの使用をご提案しご了承いただいたため処置に入りました。
手術ではまず、保存不可能と判断した歯の抜歯から行いました。抜歯に際して、周囲の歯肉や骨を可能な限り傷つけないよう、低侵襲下で抜歯処置を行える「Bennex」と呼ばれる器具を用いて抜歯を行いました。
その後、サージカルガイドを用いてインプラント埋入を行い、抜歯によってできた隙間には人工の骨補填材を填入。最後に、インプラントと骨の結合を数値で確認することができる「オステル」という器材を用いて数値を計測し、インプラントに仮歯を装着しても問題ない数値を測定できたため、即日で仮歯を装着しました。
インプラント治療の:注意事項(副作用やリスク、デメリット)
抜歯即時インプラント埋入後の骨とインプラントの固定値次第では、インプラント体に直接仮歯を装着することができない場合があります。その場合も、両隣在歯と仮歯を固定して審美性を損なわぬよう処置します。
インプラント治療のその後
手術後は痛みや腫れが出ることもなく、即日で仮歯を装着することができたため、患者様は「もっと早くやればよかった!」と笑顔でおっしゃってくださいました。また、手術後のマウスピースについても改めてご説明しました。
今回の症例からも分かる通り、お口の中を局所的にではなく全体的に捉えて診査・診断を行い、「最も長持ちするための治療は何だろう?」と考えることが最も患者様のためになると思います。こちらの患者様も、前歯が何度も取れる原因について納得できる説明が受けられず、困惑し、どうしたらいいか分からず非常に困っている状態でご来院いただきました。治療で最も大切なのは、手術前の診断と治療計画、そして治療に入る前に患者様の疑問や不安を払拭し、患者様が理解できるような言葉を使ったカウンセリングを実施することだと考えます。
今回の治療法である抜歯即時インプラント埋入は、通常のインプラント治療よりも約4~6ヶ月も治療期間を短くすることができる方法です。特に、今回の患者様のように審美性も求められる前歯には非常に有用な方法であると考えます。
これからも、抜歯即時インプラント埋入のようなアドバンスな治療を行えるよう、当院では日々知識と技術の研鑽を行って参ります。同時に、治療を受ける患者様のお口の中の状態が少しでも長持ちできるように、お口を全体的に捉えて治療を行っていくことを医院全体で共有し、分かりやすいご説明を心がけていきたいと考えています。
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