インプラントオーバーデンチャーとは?メリットや治療の流れを解説!
こんにちは。千葉県柏市イオンモール柏向かいにある、ウィズ歯科クリニックの国際口腔インプラント学会認定医、歯科医師の小川です。
「噛めない」「外れる」「違和感がある」など、入れ歯についてこのようなお悩みをおもちの方には、安定感のある義歯のインプラントオーバーデンチャーがおすすめです。
この記事では、インプラントオーバーデンチャーについて詳しく解説します。オールオンフォーインプラントや入れ歯との違い、インプラントオーバーデンチャーのデメリットについてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
インプラントオーバーデンチャーとは?
インプラントオーバーデンチャーとは、残っている自分の歯やインプラントを支えにした入れ歯のことです。
従来の入れ歯は歯茎に吸着しているのに対し、インプラントオーバーデンチャーは残っている自分の歯やインプラントを支えにするため、安定感に優れ、しっかり噛めます。また、しっかりと固定されるため、ズレたり外れたりしにくいのもメリットの一つです。
保険の部分入れ歯の場合、歯にひっかける金具が見えてしまい、見た目がよくありません。
一方、インプラントオーバーデンチャーは部分入れ歯にも対応できるため、見た目も改善できるでしょう。
インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリット
インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリットを、それぞれ解説します。
メリット
インプラントオーバーデンチャーのメリットは、以下の5つです。
①しっかり噛める
インプラントオーバーデンチャーは、残っている自分の歯やインプラントを支えにした入れ歯のため、しっかり噛めるようになります。従来の入れ歯では食べにくかった硬いものや、くっつくものでも噛めるでしょう。
入れ歯の噛む力は自分の歯の噛む力と比べると、3分の1程度といわれています。そのため、食事を楽しめないというお悩みを抱えている方は少なくありません。インプラントオーバーデンチャーでしっかり噛めるようになることで、毎日の食事も楽しんでいただけるはずです。
②ズレたり外れたりしにくい
インプラントオーバーデンチャーは、残っている自分の歯やインプラントに入れ歯を差し込むようなかたちのため、ズレたり外れたりしにくいといえます。
従来の入れ歯よりもしっかり固定されることで安定感があるため、食事や会話の途中で外れてしまうストレスからも解放されるでしょう。
③違和感が少ない
入れ歯の安定感が高いことで、歯茎が擦れて痛んだり外れたりするような違和感が出にくいといえます。また、上の総入れ歯の場合、歯茎を覆う部分を少なくして入れ歯を製作できるので、使い心地がよいでしょう。
④取り外してケアできる
インプラントオーバーデンチャーは自分で取り外せるので、簡単にケアできるのもメリットの一つです。
残っている自分の歯を支えにしてインプラントオーバーデンチャーにする場合、歯に汚れが溜まりやすくなるため、虫歯に注意しなければいけません。また、インプラントを支えにする場合も、インプラントは虫歯になりませんが、インプラント周囲炎のリスクはあります。
このことから、インプラントオーバーデンチャーを長持ちさせるためには、入れ歯を取り外して毎日きちんと歯磨きすることと、定期的な歯科医院でのメンテナンスが必須といえるでしょう。
⑤顎の骨が少なくても治療できる
一般的なインプラントの場合、顎の骨が少ないと治療が受けられないことがあります。
しかし、インプラントオーバーデンチャーは、顎の骨が少なくても治療が受けられるため、幅広い方が治療を受けられるのもメリットの一つです。
デメリット
インプラントオーバーデンチャーのデメリットは、以下の5つです。
①外科手術が必要
インプラントオーバーデンチャーは、顎の骨にインプラントを埋め込むため外科手術が必要です。
糖尿病や骨粗鬆症などの持病がある場合、治療が受けられない場合があります。
②入れ歯が消耗しやすい
インプラントオーバーデンチャーは、入れ歯でしっかり噛めるようになるため、入れ歯がすり減ったり割れたりしやすくなります。
現在使っている入れ歯をインプラントオーバーデンチャーにそのまま使うこともありますが、保険の入れ歯の場合は、強度がないため割れやすいので注意が必要です。
③保険が適用されないため費用がかかる
インプラントオーバーデンチャーは、保険が適用される治療ではありません。
自費診療になるため、一般的な入れ歯の治療費よりも高額になります。
オールオンフォーインプラントや入れ歯との違い
インプラントオーバーデンチャーとほかの治療法について、ポイントごとに比較して解説します。
①オールオンフォーインプラントとの違い
<インプラントオーバーデンチャーとオールオンフォーインプラントの違い>
オールオンフォーインプラント | インプラントオーバーデンチャー | |
---|---|---|
治療内容 | 最小4本のインプラントを支えにした被せ物 | 2~4本のインプラントを支えにした入れ歯 |
適応症 |
・歯をすべて失った方が対象 ・外科手術が必要なので、健康状態によっては不可 |
・総入れ歯にも部分入れ歯にも対応可能 ・外科手術が必要なので、健康状態によっては不可 |
費用 | 200~400万円 | 50~200万円 |
治療期間 | 3~6か月 | 2~3か月 |
取り外し | できない | できる |
安定感 | ◎ | 〇 |
話しやすさ | ◎ | 〇 |
オールオンフォーインプラントとは、最小4本のインプラントを支えにして、12本のつながった被せ物を作る治療法のことです。
インプラントオーバーデンチャーと似た治療法ではありますが、大きな違いは被せ物か入れ歯であるかです。
オールオンフォーインプラントは入れ歯ではないので、取り外す必要がありません。固定式であるため、インプラントオーバーデンチャーよりも安定感があり、話しやすさや食事のしやすさも優れているでしょう。
インプラントオーバーデンチャーは部分入れ歯にも対応できますが、オールオンフォーインプラントは歯をすべて失った方が対象の治療法です。そのため、症例によっては抜歯が必要になることもあります。また、オールオンフォーインプラントは、インプラントオーバーデンチャーよりも機能性が優れているため、費用が高額になるといえるでしょう。
ただし、どちらの治療法もインプラントを埋め込む外科手術が必要です。健康状態によっては治療が受けられないことがあるため注意が必要です。
②入れ歯との違い
<インプラントオーバーデンチャーと入れ歯の違い>
入れ歯 | インプラントオーバーデンチャー | |
---|---|---|
治療内容 | 歯茎の型を取って入れ歯を作る | 2~4本のインプラントを支えにした入れ歯 |
適応症 |
・総入れ歯にも部分入れ歯にも対応可能 ・比較的簡単な治療なので幅広い方が治療可能 |
・総入れ歯にも部分入れ歯にも対応可能 ・外科手術が必要なので、健康状態によっては不可 |
費用 | 保険適用 | 50~200万円 |
治療期間 | 約1か月 | 2~3か月 |
安定感 | × | 〇 |
話しやすさ | × | 〇 |
見た目 | 部分入れ歯の場合、金具が見える | 〇 |
入れ歯は、歯茎の型を取って作りますが、やわらかい歯茎の上に乗っているようなかたちなので痛みが出やすく、外れやすいといえます。一方、インプラントオーバーデンチャーは、残っている自分の歯やインプラントを支えにした入れ歯です。支えの上に入れ歯を作るため、従来の入れ歯よりも安定感に優れ、外れたり痛んだりしにくいでしょう。
また、保険の入れ歯の場合、薄く作ると壊れやすいため、どうしても分厚くなり違和感が出やすいといえます。インプラントオーバーデンチャーは、支えがあることから、入れ歯を小さく作れます。特に、上の総入れ歯の場合、歯茎の部分を少なくして入れ歯を製作できるので、入れ歯よりも使い心地がよいでしょう。
しかし、インプラントオーバーデンチャーは外科手術が必要なので、持病のある方は治療が受けられない場合があります。また、保険が適用されないため、費用が高額になりがちです。一方、入れ歯は、型を取るという比較的簡単な方法で治療できるため、幅広い方に対応できます。また、保険が適用されるので、費用を抑えることもできます。
インプラントオーバーデンチャーのほうが機能としては優れていますが、メリット・デメリットを比較して検討するとよいでしょう。
インプラントオーバーデンチャーはどのような人におすすめ?
インプラントオーバーデンチャーがおすすめな人は、以下のとおりです。
・今お使いの入れ歯に不満がある方
・違和感の少ない入れ歯をつけたい方
・若くして入れ歯になった方
今まで入れ歯を使用していて「噛みにくい」「すぐに外れる」などの不満がある方には、インプラントオーバーデンチャーがおすすめです。
特に、保険で上の総入れ歯を作る場合、歯が1本もないことで外れやすく、安定感を保つのが難しいといえます。インプラントオーバーデンチャーにすることによって、入れ歯の安定感が増し、しっかり噛めるうえ、違和感も少ないでしょう。
また、インプラントオーバーデンチャーは、従来の入れ歯と違い、顎の骨が痩せるのを防げます。顎の骨が痩せれば痩せるほど、入れ歯の安定は悪くなってしまいます。そのため、若くして入れ歯になってしまった方や、これ以上顎の骨が痩せるのを防ぎたい方におすすめです。
インプラントオーバーデンチャーの治療の流れ
一般的なインプラントオーバーデンチャーの治療の流れは、以下のとおりです。
1.カウンセリング
2.精密検査
3.インプラント埋入
4.アバットメントの取り付け
5.入れ歯に留め具を付ける
6.インプラントの結合を待つ
7.入れ歯を付ける
インプラントオーバーデンチャーの治療法は、インプラントを埋め込み、入れ歯とインプラントをつなぐアバットメントを取り付けます。アバットメントは、入れ歯とインプラントを磁石によって固定するマグネットタイプや取り外しのしやすいボールタイプ、固定に優れたバータイプなど、種類はさまざまです。
埋入するインプラントの本数は、アバットメントのタイプや治療範囲にもよりますが、一般的には上顎で4本、下顎で2本です。顎の骨とインプラントの結合が確認できたら、入れ歯を取り付けます。
アバットメントがあることによって、一般的な入れ歯よりも安定感があり、使い心地がよいでしょう。
インプラントオーバーデンチャーの費用
一般的なインプラントオーバーデンチャーの費用の目安は、50~200万円です。保険が適用される治療ではないため、保険で治療できる入れ歯と比べると費用は高額になるでしょう。
しかし、入れ歯よりも見た目がよく、使い心地がよいといえます。
また、同じインプラント治療のオールオンフォーインプラントと比べると、安い費用で治療可能です。一般的なオールオンフォーインプラントの費用の目安は、200~400万円です。オールオンフォーインプラントは最小4本のインプラントで、12本のつながった被せ物を支えます。固定式のつながった被せ物を入れるため、違和感がなく安定感もありますが、なにか不具合が起こった場合、すべて一から作り直しになることがあります。
一方、インプラントオーバーデンチャーは上顎で4本、下顎で2本のインプラントを支えにした入れ歯です。オールオンフォーインプラントよりも少ないインプラントで歯を補え、入れ歯に不具合が起こったとしても、その部分だけを修理できます。
インプラントオーバーデンチャーは、保険が適用されないので費用は高額になりますが、入れ歯よりも使い心地がよく、オールオンフォーインプラントよりも不具合が起こったときにも対処しやすい治療といえるでしょう。
まとめ
インプラントオーバーデンチャーは、残っている自分の歯やインプラントを支えにした、安定感に優れた入れ歯のことです。従来の入れ歯に比べると、ズレたり外れたりしにくく、しっかり噛めるようになるでしょう。また、入れ歯よりも小さく作れるため、違和感が少なく、食事も楽しんでいただけるはずです。
インプラントを使った治療法には、インプラントオーバーデンチャーよりも機能が優れたオールオンフォーインプラントなどもあります。
入れ歯でしっかり噛めない・違和感の少ない入れ歯を使いたいなど、今使っている入れ歯にお悩みの方は是非ご検討ください。
当院では、国際口腔インプラント学会(ISOI)認定医が三名、インプラントコーディネーターも在籍し、セカンドオピニオン、無料相談も受け付けておりますのでご連絡をお待ちしております。