顎の骨量が少ない人でもインプラント治療は受けられる?治療法を解説!
こんにちは。千葉県柏市イオンモール向かいにございます、ウィズ歯科クリニックの国際口腔インプラント学会認定医、歯科医師の小川です!
インプラント治療は、失った歯を補う方法として非常に人気のある治療です。
しかし、インプラント治療は骨に歯の土台を直接埋め込むので、顎の骨量がどれだけあるのかということが非常に重要といえます。
この記事では、顎の骨量が少なくてもインプラント治療を受けることができるのか、顎の骨量を増やす治療法について解説します。
インプラント治療とは?
インプラント治療とは、歯の根っこに相当するインプラント体を顎の骨に埋め込み、そこに人工歯を装着する治療法です。
そのため、入れ歯やブリッジと異なったさまざまな特徴があります。以下に、インプラント治療の特徴をまとめてみました。
見た目がよい
インプラント治療では人工歯根に人工歯を装着するため、入れ歯やブリッジと比較して見た目がよいという特徴があります。
健康な歯を削らない
入れ歯やブリッジを装着するためには、健康な歯を削る必要があります。
しかし、インプラント治療では歯の根っこに相当するインプラント体を顎の骨に直接埋め込むので、健康な歯を削ることなく歯を補うことができます。
さらには周囲の歯に負担がかかることもありません。
治療期間が長い
入れ歯やブリッジでは、基本的に1か月程度で歯が入ります。
一方、インプラント治療では、顎の骨にインプラント体を埋め込む必要があります。インプラント体が骨と結合するために1.5〜3か月程度かかるので、入れ歯やブリッジと比べて治療期間が長くなるでしょう。
手術が必要である
インプラント治療は、手術が1~2回必要です。2回法では1回目の手術では歯茎を切開し、顎の骨に穴を開け、インプラント体を埋め込む手術を行います。2回目の手術ではインプラント体に人工歯とインプラント体を繋げるアバットメントを取り付ける手術を行います。
インプラント治療は手術が必要なため、入れ歯やブリッジと比べて精神的な負担が比較的高いといえるでしょう。
費用が高い
インプラント治療の相場は、1本あたり300,000〜600,000円です。入れ歯やブリッジと異なり、保険適用外のため治療費が高額になります。
顎の骨量が少ない人でもインプラント治療は受けられる?
結論から申し上げると、顎の骨量が少ないと基本的にはインプラント治療を受けることができません。
インプラント治療では、インプラント体を顎の骨に埋め込みます。そのため、顎の骨量が少ないとインプラント体を周りの骨が支えられず、インプラント体と骨が結合できなくなるのです。
しかし、顎の骨量が少ない場合でも、後述する「骨を増やす治療」を行うことでインプラント治療を受けられることがあります。
顎の骨量が少なくなる原因
では、なぜ顎の骨量が少なくなるのでしょうか。以下に原因をまとめてみました。
歯周病
顎の骨量が少なくなる原因の代表的なものとして、歯周病があります。
お口の中の清掃状態が悪いと歯茎に炎症が生じ、歯と歯茎の周りにある歯周ポケットが深くなります。この深くなった歯周ポケットに細菌が侵入し、最終的には炎症が骨にまで広がり歯を支える骨が溶けてしまうのです。
根尖病巣(こんせんびょうそう)
歯の根っこの先に膿が溜まった状態のことを根尖病巣といいます。根尖病巣を放置すると根っこの周りの骨に炎症が広がり、骨が溶ける原因になるのです。
加齢
人間の骨は、骨の吸収と再生が常に起こっています。
しかし、一般的に年齢を重ねると、骨の吸収が亢進するため骨量が減少します。女性の場合、高齢になると女性ホルモンであるエストロゲンが減少するのです。エストロゲンは骨吸収を緩やかにする作用があるため、骨の吸収がより高度に進行することがあるでしょう。
顎の骨量が少ない人がインプラント治療を受けたい場合
顎の骨量が少ない場合、インプラント治療を行う前に骨を増やす手術が必要です。骨を増やす手術のことを「骨造成術」といいます。以下に、代表的な骨造成術をまとめました。
サイナスリフト
上の歯の前から5〜7番目の歯の根っこの近くには、上顎洞と呼ばれる空洞が存在します。顎の骨量が少ないと、インプラント体が上顎洞を貫いてしまい、副鼻腔炎などの合併症を引き起こすことがあります。
サイナスリフトは、歯茎の側面を切開して上顎洞粘膜を露出させたあと、上顎洞粘膜と骨を剥がし、そのすき間に人工骨を詰めて骨を再生する治療法です。サイナスリフトでは、骨を増やすことができる範囲が広いため、傷口が大きくなってしまいますが、広い範囲の骨を再生することができます。
ソケットリフト
ソケットリフトもサイナスリフトと同様に上顎の骨を再生させる治療法です。
しかし、サイナスリフトと異なり、インプラント体を埋入する穴から上顎洞粘膜を持ち上げ、人工骨を入れます。サイナスリフトのように歯茎の側面の切開を行わなくてよいため、手術範囲が少なく済み、傷口が小さいという点はメリットといえるでしょう。
しかし、手術範囲が限られるので、広い範囲の骨を増やすことはできません。
骨誘導再生法(GBR法)
骨誘導再生法は、骨が少なくなった部位に人工骨を入れ、メンブレントと呼ばれる人工膜で覆うことで骨を再生する治療法です。インプラント手術と同時に行うことができ、治療期間を短縮できるという特徴があります。
顎の骨量が少ない人のインプラント治療の流れ
インプラント治療を行う前に顎の骨の状態をレントゲンやCTで確認し、この時点で顎の骨量が少ない場合は「骨造成術」を行います。
ソケットリフトはインプラント埋入と同時に、サイナスリフトの場合は術後に骨が再生したことを確認してからインプラント治療を行いますが、骨誘導再生法の場合は残存している骨の量によって異なってきます。
顎の骨を再生するためにかかる費用相場
顎の骨を再生するためにかかる費用相場は、以下の表のとおりです。
<骨造成術の費用相場>
費用相場 | |
---|---|
サイナスリフト | 100,000〜300,000円 |
ソケットリフト | 30,000〜100,000円 |
骨誘導再生法(GBR法) | 50,000〜150,000円 |
骨造成術は自費診療のため、費用が高額です。費用は歯科医院によって異なりますので、詳細は歯科医院に問い合わせましょう。
骨造成術後の注意点
ここまで、骨造成術について説明しました。次に、骨造成術後の注意点について説明します。
うがいをし過ぎない
骨造成術後にうがいをし過ぎると傷口のかさぶたが取れてしまい、出血や傷が治りにくくなる原因になります。
術後しばらくは、うがいはなるべく控えましょう。
お口の中を清潔に保つ
骨造成術後、傷口に細菌が侵入すると感染や傷口が治りにくくなる原因になります。
術後しばらくは、うがいやほかの歯の清掃を行い、お口の中を清潔に保つことが大切です。傷口がある程度落ち着いてから、スポンジブラシなどを用いて汚れがたまらないように清掃しましょう。
固いものを噛まない
創部に食べ物が当たると痛みの原因になります。そのため、しばらくの間はお粥やうどんなど柔らかいものを食べましょう。
また、辛いものなど刺激物の摂取も痛みの原因になるので注意が必要です。
運動や飲酒を控える
運動や飲酒を行うと血流がよくなるため、創部から出血する可能性があります。運動や飲酒は、傷口が落ち着くまでは控えましょう。
まとめ
今回は、顎の骨量が少ない人に対するインプラント治療について解説しました。
インプラント治療では、歯の土台の部分を顎の骨に直接埋め込むので顎の骨量が必要です。そのため、顎の骨量が少ない場合は骨を増やす「骨造成術」を行います。
骨造成術の代表的な方法として、サイナスリフト・ソケットリフト・骨誘導再生法の3つの治療法があります。歯周病や加齢などの影響で顎の骨量が少なくなった場合でも、骨造成術を行えばインプラント治療は可能です。インプラント治療を希望される方は、まず担当歯科医師に相談して顎の骨の状態を診てもらいましょう。
千葉県柏市のウィズ歯科クリニックでは国際口腔インプラント学会(ISOI)認定医が三名、インプラントコーディネーターも在籍しセカンドオピニオン、無料相談も受け付けておりますのでご連絡をお待ちしております。