【小児の虫歯予防】サホライドとは?フッ素との違いや効果、治療の流れを解説!
こんにちは。イオンモール柏向かいにある、ウィズ歯科クリニック歯科医師小川です。
サホライドは、初期虫歯の予防に効果的な歯科治療の薬剤です。虫歯予防と聞くと、フッ素を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
今回は、サホライドとフッ素の違いやサホライドの有効性について詳しく解説します。サホライド治療を受ける際に知っておくべき注意点についてもご紹介しますので、虫歯の治療を受ける必要がある方は、ぜひ参考にしてください。
サホライドとは
サホライドは、歯科薬剤の商品名で、38%フッ化ジアンミン銀が含まれている透明の液体です。サホライドには、銀と濃度の高いフッ素が含まれているため殺菌力が高く、虫歯菌の増殖を抑制でき、主に初期虫歯の治療や知覚過敏の治療に用いられます。
サホライド治療は歯を削る必要がないため、幼児や発達障害がある方など、一般の虫歯治療が難しいケースで効果が発揮されます。歯科治療において有用な薬剤ですが、劇薬に分類されるため取り扱いには注意が必要です。
サホライドの効果
サホライドは、塗布するだけで虫歯の進行を抑制することができ、知覚過敏症状にも有効です。
サホライドの主な効果は、以下のとおりです。
・虫歯の進行を抑制する
・知覚過敏の症状を抑制する
一つずつ詳しく見ていきます。
虫歯の進行を抑制する
サホライドは、初期虫歯の進行を抑制できます。また、二次カリエスの進行を抑制するために用いることも可能です。
初期虫歯の進行を抑制する
初期の虫歯であれば、サホライドを塗布するだけで虫歯の進行を抑制できます。歯を削らずに済むのが大きなメリットです。
ただし、歯が黒く変色するため、永久歯の前歯への適用は避けたほうが望ましいです。また、虫歯の深さによっては、サホライドでは虫歯の進行を抑制できない場合があります。
二次カリエスを予防する
サホライドは、初期虫歯の抑制以外に、二次カリエスの予防としても使用されます。
歯を削ったあと、被せ物や詰め物をする前に歯の土台部分にサホライドを塗布します。サホライドの銀とフッ素の効果により歯質が強化されるため、虫歯の再発を防止できるでしょう。塗布した部分は被せ物で見えなくなるため、黒く変色しても気になりません。
知覚過敏の症状を抑制する
歯は、表面から神経に向かって管が通っています。歯冠部分はエナメル質で覆われていますが、歯の根っこはエナメル質がないため、刺激が伝わりやすくなります。歯茎が下がり歯の根っこが露出すると、神経の管を通じて刺激が伝わり、知覚過敏を起こします。
サホライドを塗布すると、銀とフッ素の作用により管を塞がれ、温度変化や接触刺激の伝達を抑制し、しみや痛みの症状を抑えられます。
サホライドとフッ素の違い
サホライドと歯科医院で塗布するフッ素では、効果や作用が大きく異なります。
以下で、フッ素とサホライドの違いについて詳しく解説します。
フッ素の作用
フッ素は、歯の表面を再石灰化させて歯質を強化します。さらに、虫歯菌の増殖を抑える作用により虫歯を予防します。
歯科医院で塗布するフッ素の濃度は約9,000ppmですが、市販の歯磨き粉に配合できるフッ素濃度は1,450ppmまでと決められています。歯科医院で塗布するフッ素には、穴が空いた虫歯の進行を抑制する効果は期待できません。
フッ素のメリットは、塗布しても歯が変色する心配がなく、虫歯以外の歯にも適用可能なことです。歯科医院で塗布する以外に、自宅でフッ素を取り入れる方法もあります。
フッ素の活用方法は以下のとおりです。
・フッ素入りの歯磨き粉を使用する
・歯科医院で定期的にフッ素を塗布する
・ブラッシング後にフッ素洗口剤でうがいをする
フッ素は、多量に体に取り込むと悪影響を及ぼす恐れがあるため、取り扱いには注意が必要です。お子様でも使用が可能ですが、誤って多量に摂取することがないように管理を徹底しましょう。
サホライドの作用
サホライドには、高濃度のフッ素と殺菌効果の高い銀が含まれており、相乗効果が期待できます。
サホライドのフッ素濃度は約55,000ppmで、市販の歯磨き粉の約50倍、歯科医院で塗布するフッ素の約5倍です。銀の効果としては、虫歯の部分に吸着して歯の表面を硬くすることで虫歯の進行を予防します。
サホライドは、塗布したあとに虫歯の部分が黒くなるのが大きなデメリットです。
サホライドの対象年齢と治療法
サホライドは、小児から大人まで使用が可能で、保険適用での治療が可能です。サホライドを塗布すると、虫歯菌と反応して黒くなるため、永久歯の見える範囲の歯に対しては適応できない場合があります。
サホライドの治療法について、年齢層別に解説します。
小児・乳歯に適応するケース
歯磨きを嫌がりブラッシングが十分に行えない小児は、虫歯のリスクが高まります。
サホライドは歯を削る必要がないため、3歳前後の小さなお子様でもスムーズに治療ができます。
恐怖心があり、嫌がるお子様の場合、無理やり虫歯治療をしてもきれいに詰め物を入れられません。その場合、一時的に虫歯の進行を止められるサホライドは効果的です。お子様が成長し虫歯の治療ができるようになったときに、黒く変色した部分を白い詰め物に交換できます。
成人に適応するケース
奥歯や歯の裏側、歯と歯の間など見えない部分であれば、黒くなっても問題がないためサホライドが適応されます。
詰め物は、ある程度深く削らないと取れてしまうため、健康な歯の部分まで削るケースがあります。小さい虫歯に対しては、サホライドを用いることで健康な歯を削るリスクを避けられるでしょう。銀歯のふちなどを治療した歯に初期虫歯が発生した場合、サホライドで虫歯の進行を抑制できれば再治療しなくて済みます。
また、成人の場合は、虫歯のリスクが高い患者への使用が有効とされています。サホライドの有効性が高い患者は、以下のとおりです。
・口内を清潔に保つことが難しい要介護者
・薬の副作用や病気の治療で唾液が異常に少ない患者
本人が口内を清潔に保つことが難しい要介護者の場合、治療も困難になります。
歯を削ることが難しいケースでも、サホライドは削る必要がなく治療時間が短いため、手軽に治療できるのが大きなメリットです。歯が黒くなるという見た目の欠点がありますが、虫歯の進行を防げるメリットは大きいといえます。
高齢者に適応するケース
加齢とともに歯茎が下がると、歯根面が露出します。
歯根はエナメル質がないため、知覚過敏や虫歯のリスクが高まり、痛みが生じやすくなります。歯が抜けると、歯の側面や入れ歯の間は汚れが付きやすくなり、虫歯の進行が速くなる恐れがあるでしょう。虫歯が見つかった場合は、定期検診で進行度をチェックし、サホライドを繰り返し塗布しながら経過を観察します。
歯を削る時期をできるだけ遅らせることで、歯の寿命を延ばすことが可能です。
サホライドの治療の流れ
サホライドは、劇薬であるため個人での使用はできません。歯科医院で処置する場合も、虫歯以外の部位に付かないように注意を払って治療します。
サホライドの治療の流れをご紹介します。
歯面の汚れを落とす
歯の表面に汚れが付いていると薬剤の効果を妨げるため、プラークを入念に取り除きます。
歯面を乾燥させ、歯茎を保護する
サホライドが唾液に混ざると不要な部位に薬剤が付く恐れがあるため、入念に歯面を乾燥させます。周辺の歯茎には、サホライドが付かないようにワセリンを塗ります。
サホライドを局所的に塗布する
虫歯の上から、小さい綿球にサホライドを付けて塗布します。塗布したあと、一定の時間放置して浸透させます。
サホライドの使用時間は年齢や乳歯や永久歯によって異なりますが、目安となる使用時間は以下のとおりです。
<サホライドの使用時間の目安>
年齢 |
サホライドの使用時間の目安 |
2歳児前後 |
30秒 |
3歳児 |
30秒~1分 |
4~5歳児 |
2分 |
学童以上成人まで |
3~4分程度 |
年齢 | サホライドの使用時間の目安 |
---|---|
2歳児前後 | 30秒 |
3歳児 | 30秒~1分 |
4~5歳児 | 2分 |
学童以上成人まで | 3~4分程度 |
参照元:「サホライド液歯科用38%」
水で洗い流す
サホライドが口に残ると、粘膜に色が付いたり強い苦みを感じたりする可能性があるため、入念に水で洗い流します。
通院を繰り返し、数回塗布する
虫歯や知覚過敏の症状によっては2~7日程度間隔を空けて、3~4回程度治療を繰り返します。
通院回数は、経過観察を行い、歯の状態を確認してから決定します。
サホライド治療を受けるうえでの注意点
サホライドは虫歯の進行を抑制できる効果的な薬剤ですが、サホライドの処置を行ったとしても、口腔内が不潔な状態が続くと虫歯が再発します。また、劇薬であるため治療を受けるうえで知っておくべき注意点がいくつかあります。
サホライド治療の注意点について以下で解説します。
皮膚や粘膜に付くと黒くなる
粘膜や舌、口唇に付くと、銀が沈着して黒くなります。
サホライドは透明の液体であるため、粘膜に付いたときは気付きませんが、時間が経過すると徐々に黒くなってきます。皮膚に付着した場合は、早めに水でよく洗い落としましょう。粘膜に付いた場合も、1週間程度で色が取れてきます。
舌や粘膜に付くと苦みを感じる
治療中に舐めたり粘膜に付いたりすると、苦みを感じて嫌がるお子様がいます。歯科治療に恐怖心があるお子様の場合、苦みを感じることで動いてしまい、トラブルが起こる可能性が高まります。
治療がうまくできないお子様は、歯磨きの練習から開始するなど歯科治療に安心感をもってからサホライド治療を受ける必要があります。一度痛みを感じると恐怖心が増すため、ゆっくりと歯科治療に慣れていきましょう。
虫歯の進行を抑制できない場合もある
すでに深部まで虫歯が進行している場合は、サホライドを塗布しても虫歯を抑制できないことがあります。
サホライドで虫歯を抑制できるかどうかは、歯科医師がレントゲン写真を確認のうえ、視診・触診を行って判断します。
サホライド治療も虫歯予防は必要
サホライドを塗布したあとも、歯磨きが不十分であると虫歯が再発します。
虫歯が深くまで進行すると、サホライドでは虫歯の進行を抑制できず、痛みが生じる可能性があります。サホライド治療のあとも口腔ケアの徹底が必要です。
まとめ
今回は、虫歯の進行を抑制するサホライド治療について解説しました。サホライドは、歯を削らずに塗るだけで虫歯を予防できる治療法です。
ただし、塗った部分が黒くなるため、適用部位や活用できる症例が限られます。サホライド治療やフッ素塗布など個人に合った治療を歯科医師と相談し、適切な口腔ケアを続けることが大切です。
少しでも気になることがありましたら、柏の歯医者「ウィズ歯科クリニック」までお気軽にご相談ください。
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