インプラント治療のGBR法(骨造成手術)とは?治療の流れや費用も解説
こんにちは。千葉県柏市の歯医者、ウィズ歯科クリニックの国際口腔インプラント学会認定医、歯科医師の小川です!
インプラント治療では、歯を失ってしまった場合に、顎の骨に直接人工歯根を埋め込む治療を行います。そのときに顎骨の量が少ない場合に行われるのがGBR法(骨造成手術)という治療法です。
今回は、GBR法とはどのような治療なのか、詳しい特徴を解説していきます。
顎の骨が少ないとインプラント治療は受けられないの?
インプラント治療は、顎の骨に人工歯根を埋め込む治療法です。そのため、顎の骨がしっかりしていて、なおかつ厚みがなければインプラントを埋入することはできません。
しかし、インプラント治療そのものを諦める必要はなく「骨造成」という骨の厚みを増やすための治療を行えば、インプラント治療ができるようになります。
GBR法(骨造成手術)とは?
GBR法とは「Guided Bone Regeneration」の略で、骨再生誘導法という治療法を指します。
インプラント治療を行うためには、インプラントを埋入できるだけの骨の幅や高さが必要です。インプラントを埋入するための骨が足りない患者さんでも、GBR法によって骨を再生することで治療が可能になる場合があります。
GBR法は、施術する歯科医師の高度な知識や経験が必要です。顎の骨が少ない状態でインプラントを埋め込むのは、非常に難しい施術といえます。インプラント治療に精通していて、高度な知識や経験がある歯科医師であっても、リスクの高い施術となるため、あえて顎の骨の量が少ないまま施術をすることは少ないでしょう。
顎の骨が少ないままインプラント治療をするとどうなるか
顎の骨が少ないままインプラント治療をすると、インプラントが抜けてしまう可能性があります。
インプラントを支える役割をするのが骨です。骨がしっかりと役割を果たせない状態では、インプラントを安定させることができません。場合によっては抜け落ちてしまうこともあります。
顎の骨が少なくなる原因
では、なぜ顎の骨が少なくなるのでしょうか。主な原因は4つ考えられます。
・歯周病
・もともと少ない
・抜けた歯を長期間放置した
・入れ歯が合っていない
それぞれについて詳しく解説します。
歯周病
歯周病菌に感染し、歯を支える周りの骨(歯槽骨)が溶けてしまっている状態です。歯が抜けるほどになってしまった場合には、かなり歯周病が進行していた可能性があります。歯周病によって歯が抜けてしまった場合には、骨は非常に少ない状態といえるでしょう。
GBR法を行なったとしても、再び歯周病が進行してしまっては意味がありません。歯周病菌はインプラント周囲にも感染を起こします。きちんと歯周病がコントロールできるようになってからインプラント治療をすることをおすすめします。
もともと少ない
全身の骨格は人それぞれ違いますが、顎の骨も同じです。生まれつき顎の骨の幅が薄い・骨の高さが低い場合には、そのままインプラント治療をするのは難しいでしょう。
抜けた歯を長期間放置した
歯が抜けた状態になると、食事などのふだんの生活において、適度な力が顎の骨に伝わりにくくなります。
人の体は刺激を受けない部分は廃用萎縮と言って衰えていくようになっているのです。そのため、刺激を受けなくなった歯茎・歯槽骨は徐々に痩せてきてしまいます。歯を失って、インプラント治療を考えている場合には、長期間放置せずに歯やめに治療開始を検討するようにしましょう。
入れ歯が合っていない
入れ歯が合っていないと、さまざまな方向から圧力がかかり、圧迫された歯茎の下の顎の骨が吸収されてしまいます。
GBR法のメリット・デメリット
どのような治療法にもメリット・デメリットがあるように、GBR法にもメリットとデメリットがあります。それぞれに分けて詳しく解説していきましょう。
GBR法のメリット
GBR法のメリットは、主に以下の4つです。
従来では受けられなかったインプラント治療が受けられるようになる
今まで、顎の骨の量が少ないことを理由にインプラント治療が受けられなかった方も、GBR法で骨の量を増やすことによってインプラント治療ができるようになります。
しっかりと咀嚼できるようになる
顎の骨の量が少なくなっている方に多いのは、入れ歯をしている・歯が抜けたまま放置をしていたというケースです。GBR法によりインプラント治療が可能になれば、しっかりと咀嚼できるようになります。
インプラントの安定性が高くなる
顎の骨の量を増やすことによって、適切な部分にインプラントを埋入することができるようになり、インプラントの安定性が高くなります。
見た目がよくなる
GBR法を行うことによって歯茎の位置が従来の位置に近くなり、きれいな形になります。インプラントを入れ、最終的に被せ物をしたときの見た目がよくなるのです。
GBR法のデメリット
GBR法のデメリットは、主に以下の4つです。
治療期間が長期間になる
GBR法は、時間がかかる治療です。
骨が再生する速度は早くないため、手術後4〜6か月は待たなくてはなりません。その後インプラントを埋入し待時期間を置くために、6か月から1年程度と長期間となってしまうケースもあります。ただ条件が合えばインプラントの埋入を同時に行なうことで、骨造成の安定とインプラント体の待時期間を同時に待てるため、治療期間を短縮することも可能です。
治療費用が高額になる
インプラント治療の費用に加えて、GBR法の費用が別途かかります。
GBR法の費用は5〜15万円程度です。そのため、あらかじめ予算を多めに考えておく必要があるでしょう。
GBR法を行なっても再び骨吸収を起こすリスクがある
GBR法を行っても、再び骨吸収を起こしてしまうことがあります。実績の多い治療とはいえ、うまくいかないリスクもあるということです。
骨吸収を起こしてしまわないよう、治療後も細かなチェックが欠かせません。
手術が必要になる
インプラント治療自体、外科手術が必要な治療ですが、GBR法を行うことで手術に一手間かかることになります。手術には必ずリスクが伴うものなので、デメリットにもなり得るでしょう。
GBR法の流れ
GBR法が行われたあとにインプラント治療を行う場合もありますが、今回は、インプラント治療とGBR法を同時に行う場合の治療の流れについてご紹介していきます。
1.骨造成剤
骨造成には、自分の骨(自家骨)を利用する場合と骨補填材を利用する場合があります。
自家骨を利用する場合には、最初に自家骨の採取を行います。下顎の先端か、下の奥歯の外側などから少量採取をする場合が多いです。
インプラント埋入部位から骨採取部位が離れている場合には術野が2か所になり侵襲も大きくなってしまうため、自家骨ではなく様々な骨補填材を使用することが多くなっています。
2.インプラントの埋入
歯茎を開いて、土台となる顎の骨にインプラントを埋め込みます。
この際、顎の骨の量や厚みが十分にある方の場合はインプラント体は完全に収まりますが、GBR法を行う場合にはインプラント体は骨に収まりきらず、一部が露出した状態になります。
3.自家骨または骨補填材の充填
骨が足りない部分に自家骨または骨補填材を入れ込み、その周りをメンブレンという人工膜で覆います。
少量の場合には体内で吸収されるメンブレンが使われますが、骨が足りない量が非常に多い場合には、チタンで補強された非吸収性のメンブレンを使い、のちに除去します。
4.歯茎の縫合
ここまできたら歯茎を縫い合わせます。
骨の再生には非常に時間がかかります。インプラントが定着するまで、個人差はありますが4~6か月程度は待つ必要があるでしょう。強い力を加えたり刺激を与えたりしてしまうと、インプラントと骨が結合しなくなってしまうため、注意して過ごす必要があります。
5.人工歯の装着
インプラントが骨としっかりと結合したら、上部構造といういわゆる人工歯を入れます。
インプラントを埋入した部分の歯茎を開き、人工歯と接合させるためのアバットメントという部品をインプラントに接続してから人工歯を装着していきます。非吸収性のメンブレンを入れた場合には、このときに除去します。
GBR法の費用
インプラント治療とGBR法(骨造成手術)は、保険が適用されないため自費治療です。
歯科医院によって費用は異なりますが、GBR法単体では5〜15万円程度が相場でしょう。費用に大きく幅があるのは、骨再生の範囲や大きさによっても費用が異なるためです。GBR法を行う必要がある場合は費用が大きく変わるので、インプラント治療前の診査・診断の段階でしっかりと相談するようにしましょう。
まとめ
今回は、GBR法について詳しくご紹介しました。
GBR法は、顎の骨の量が少なくてもインプラント治療を行うことができる画期的な治療法ですが、治療期間が長くかかり、費用も高くなるというデメリットもあります。インプラント治療も含め、外科手術は体に負担がかかり、治療期間も長くなるため、十分に納得したうえで治療を進めるようにしましょう。
骨がなくてインプラント治療が出来ないと断られてしまった方、ご不明な点がある場合はお気軽にご相談ください。
千葉県柏市のウィズ歯科クリニックでは、国際口腔インプラント学会(ISOI)認定医が三名、インプラントコーディネーターも在籍し、セカンドオピニオン、無料相談も受け付けておりますのでご連絡をお待ちしております。
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