【症例】上顎前歯部の審美障害に対して、審美的かつ高強度な材質であるジルコニアセラミッククラウン(被せ物)にて治療した症例
こんにちは!千葉県柏市イオンモール柏向かいにある、ウィズ歯科クリニックの国際口腔インプラント学会認定医の小川です!
今回は上顎前歯部の審美障害に対して、審美的かつ高強度な材質であるジルコニアセラミッククラウン(被せ物)にて治療した症例についてご紹介させていただきます。
治療前
治療後
カウンセリング・診断結果
患者様は50歳代女性、左上前歯の被せ物の形と色が周囲の色と合致していないと感じるため、治療し治したいとのことで当院に来院されました。
今回は審美障害に対するご依頼であったため、まずはご依頼いただいた箇所を始めとして、一般的に審美領域と呼ばれる、上下顎の両犬歯(糸切り歯)間を中心に全体的な診断に入りました。
口腔内診査より、左上1番に装着されていた保険適応内の被せ物が、両隣の歯と比べ若干長く、また色調も合致していないように感じました。
右上1番は天然の歯でしたが、広い範囲にコンポジットレジン(歯科用の樹脂を詰める治療)にて修復されていました。コンポジットレジン修復自体は小さな虫歯を治す治療として非常に有用ですが、長期間の経過により、劣化してしまい、変色を引き起こしてしまいます。今回の場合もコンポジットレジン自体が変色してしまっている状態で、患者様曰く、いつ治したか覚えていないくらい昔とおっしゃっていました。また、左上2番に関しては、右上1番と同様コンポジットレジンにて修復されており、長年の経過で色が変色していました。更に、歯の位置が右上2番と比べてやや内側に傾斜していました。
その他、下顎の前歯に叢生(歯の大きさと顎の大きさのバランスが崩れてしまい、歯同士が重なり合ったり、ねじれてしまっている状態)が見られました。
行ったご提案・治療内容
以上の問題点を患者様に説明した上で、治療法としては、ご依頼をいただいた左上1番に関しては再治療を行うとして、その隣の右上1番と左上2番に関しても、被せ物で治していき、下顎の前歯の叢生については矯正治療にて治療していくことを提案しました。
その理由ですが、審美領域(上下顎両犬歯間)を一ブロックとして捉えて、より審美的に仕上げようとすると左上1番の両隣の歯に関しても、治療介入が必要となり、両隣の歯の治療法としては再度コンポジットレジン修復を行う方法があるものの、より長期的に審美的な状態を維持していくためには、被せ物にて治療していく必要があると考えました。また、叢生のある左上2番に関しては、矯正治療にて左右対称となるように歯並びを改善し、その後被せ物にて治療していくことがベストと考えました。
患者様と相談したところ、必要性についてはよくご理解をいただけましたが、残念ながら矯正治療に関しては、費用負担が増えることや治療期間が長くなってしまう等の理由より了承を得ませんでしたが、両隣の歯も同時に被せ物にて治療していくことについては了承を得ましたので、次に治療の計画立案をしました。
まずは最後に装着される被せ物の材質ですが、人工のダイヤモンドとも言われるジルコニアと呼ばれる白いフレームに100%のセラミックを焼き付けて作製するジルコニアセラミッククラウンをおすすめしました。
その理由として、ジルコニアは非常に硬く頑丈な材質であること、また表面のセラミックは汚れが付着しづらく長期的に経過しても変色が起きないといった性質があるため、最も審美的に優れた材質と説明し、提案したところ了承を得ました。
次に、最終的な被せ物の形態を想定するために、現在の口腔内の状態を記録し、その情報を技工士と共有してワックスアップ(最終的に出来上がる被せ物の形態を想定するため、歯の形をワックスにて再現すること)を作製しました。ワックスアップ模型にて術後の状態を患者様と共有し、了承が得られたため、模型の歯の形態を参考に仮歯を作製し装着しました。
これより、最終的な被せ物の作製に入る前に患者様と仮歯の形態について改善点について相談し、修正をしたところ患者様よりご了承をいただけたため、被せ物の作製に入り、ジルコニアセラミッククラウンを装着しました。
術後の経過・現在の様子
術後の経過は良好で、患者様より「マスクを外すのに抵抗感がなくなった!」「人前で大きく笑えるようになった!」など嬉しいお言葉をいただけました。
この治療のリスクについて
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、被せ物が破損する可能性があります。
・治療時に歯の神経へ影響を与える場合があり、将来的に神経の治療が必要になる可能性があります。
・被せ物と歯の境目に汚れがたまりやすく、適切なメンテナンスを怠ってしまうとむし歯や歯周病が進行する恐れがあります。
治療費用・期間について
治療費用:ジルコニアスタンダード132,000円3歯分
計396,000円
治癒期間:2カ月
まとめ
今回は上顎前歯部の審美障害に対して、審美的かつ高強度な材質であるジルコニアセラミッククラウン(被せ物)にて治療した一例について紹介させていただきました。
審美歯科治療にて最も大切なことは患者様との術前のコンサルや術後の状態をイメージしやすくしていただくことだと考えます。
審美に対する価値観は人それぞれであり、例え医学的に正しくてもその結果が患者様にとって受け入れないものであった場合にはその治療は失敗と言わざるを得ません。
そのため今後も正しい診断と患者様とのコンサルを最も大切にして治療に当たりたいと思います。
当院では国際口腔インプラント学会(ISOI)認定医が三名在籍し、セカンドオピニオン、無料相談も受け付けておりますのでご連絡をお待ちしております。
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